デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬givinostatの厚生労働省による希少疾病用医薬品指定のお知らせ
JCRファーマ株式会社(代表取締役社長:薗田 啓之)は、日本における製造販売承認の申請に向け準備を進めている、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬givinostat(以下、本剤)について、このたび、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されたことをお知らせします。
本剤は、Italfarmaco S.p.A. (以下、Italfarmaco)が開発した経口投与のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤です。米国、EU、イギリスを含む複数の国々において承認されており、6歳以上のDMD患者に対して各国の添付文書に則り処方されています。なお、現時点では日本において承認されていません。
当社は昨年12月、Italfarmacoと本剤の日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しており、2026年内に日本における本剤の製造販売承認申請を行う予定です。なお、本剤は希少疾病用医薬品の指定を受けるとともに、優先審査の対象にも指定されました。
当社の代表取締役社長である薗田 啓之は、次のように述べています。
「希少疾病用医薬品および優先審査の対象に指定されたことは、本剤の事業化に向けての重要なマイルストーンとなります。アンメット・メディカル・ニーズが大きい日本のDMD患者さんに一日でも早く新たな治療薬を提供できるよう努めます。」
当社は引き続き、本剤を必要とする患者さんへ早期にお届けできるよう取り組んでまいります。
希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定について
医薬品医療機器等法に基づき、指定を受けた希少疾病用医薬品が試験研究促進を目的とし、 特別支援措置を受けられる制度。指定基準として、当該医薬品の用途に係る対象者の数が日本において 5万人未満であるか、その用途が指定難病であること、重篤な疾病等を対象とするとともに、既承認薬等がないこと、または既承認薬等と比較して高い有効性または安全性が期待されるなど、特に医療上の必要性が高いものであること、また、申請者は国内での開発を行うことのできる体制および計画を有していることが必要とされる。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)について
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、DMD遺伝子の変異によって引き起こされる稀な進行性神経筋疾患である。DMD遺伝子の変異は機能的なジストロフィンの産生を阻害し、ジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)の崩壊を引き起こす。これにより筋線維は損傷を受けやすくなり、筋細胞内のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)レベルが上昇する。筋維持・修復に必要な重要遺伝子の活性化が阻害される。結果として筋線維は持続的な損傷を受け、慢性的な炎症と再生不良を引き起こす。時間の経過とともに筋細胞は死滅し、瘢痕組織や脂肪組織に置き換わる1-4。DMDは主に男性に発症し、症状は通常2~5歳に現れる。病状が進行するにつれて筋力低下は悪化し、歩行困難、最終的には歩行不能に至る。やがて心臓や呼吸筋も影響を受け、これらが早期死亡の主な原因となる5。DMDは小児における筋ジストロフィーの中で最も重篤かつ頻度の高い病型の一つであり、世界的な出生時発症率は男児約5,050人に1人とされる6。日本におけるDMD患者数は約3,500人と推定される7。
givinostatについて
givinostat(欧米での販売名:Duvyzat®)は、Telethon(イタリアの非営利活動団体)やDuchenne Parent Project(イタリアの患者会)との協業を通じたItalfarmacoの研究開発により見出されたヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であり、経口投与で使用される。DMDの筋肉に特徴的なHDACの過剰活性を調節し、筋肉の維持および修復に不可欠な主要遺伝子や生物学的プロセスの発現回復を促進することで、DMDの原因となるジストロフィン遺伝子変異の種類に依存しない作用機序を有する。
Italfarmaco S.p.A. について
1938年にイタリアのミラノで設立され、世界中で数多くの医薬品の開発と承認を成功に導いてきた非上場のグローバル製薬企業。Italfarmacoグループは、直接または関連会社を通じて90ヵ国以上で事業を展開しており、医薬品の研究、開発、製造、および商業化の分野でリーダーシップを発揮し、免疫腫瘍、婦人科、神経科、心血管疾患、希少疾病を含む多くの治療領域で実績を確立している。Italfarmacoの希少疾病部門では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、真性多血症を対象としたプログラムを展開している。
参考文献
1.Sandonà M, Cavioli G, Renzini A, et al. Histone Deacetylases: Molecular Mechanisms and Therapeutic Implications for Muscular Dystrophies. Int J Mol Sci. 2023;24(5):4306. https://doi.org/10.3390/ijms24054306.
2.Consalvi S, Saccone V, Giordani L, Minetti G, Mozzetta C, Puri PL. Histone Deacetylase Inhibitors in the Treatment of Muscular Dystrophies: Epigenetic Drugs for Genetic Diseases. Mol Med. 2011;17(5):457–465. https://doi.org/10.2119/molmed.2011.00049.
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4.Giuliani G, Rosina M, Reggio A. Signaling pathways regulating the fate of fibro/adipogenic progenitors (FAPs) in skeletal muscle regeneration and disease. FEBS J. 2022;289(21):6484–6517. https://doi.org/10.1111/febs.16080.
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6.Crisafulli S, Sultana J, Fontana A, Salvo F, Messina S, Trifirò G. Global epidemiology of Duchenne muscular dystrophy: an updated systematic review and meta-analysis. Orphanet J Rare Dis. 2020;15(1):141. https://doi.org/10.1186/s13023-020-01430-8.
7.川井 充. デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者は日本に何人いるか. 脳と発達. 2013;45(Supple.):S324.
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JCRファーマ株式会社 経営戦略本部 広報・IR室
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