JCRの挑戦 01 研究開発

希少疾病患者の皆さんの一筋の光となる
遺伝子治療薬の開発を目指して

Introduction

血液脳関門を通過させて脳内に薬剤を届けるために、独自の画期的な技術であるJ-Brain Cargo®を創出したJCR。一方で、ライソゾーム病に対する新しい治療選択肢として遺伝子治療の実用化を模索している。その実現に向けて、研究者たちは試行錯誤を繰り返しながら、未知なる世界へと挑んだ。

研究本部 創薬研究所
トランスレーショナルリサーチ推進ユニット

T.H

2012年入社
理学部 数理分子生命理学専攻

入社後、研究本部に配属。J-Brain Cargo®開発プロジェクトに参加。抗体スクリーニング業務や、抗体融合タンパク質の分子デザインの探索と作製を担当。2017年5月より現職。AAVを用いた遺伝子治療に向けたプロジェクトを担当する。

研究本部 創薬研究所
トランスレーショナルリサーチ推進ユニット

I.S

2019年入社
工学部 薬学研究科

入社後、研究本部に配属。遺伝子治療薬の開発業務を担当。2020年、遺伝子治療薬の品質試験を中心的に担当し、試験法の構築、及び製法検討を行う。2021年4月、品質試験業務を引き続き担当するとともに、遺伝子治療に関連してアカデミアとの共同研究を担当する。

profile
Theme 01

遺伝子治療薬の開発に着手
しかし、それはゼロからのスタートだった

2017年、JCRは血液脳関門を通過させて脳内に薬剤を届ける独自技術J-Brain Cargo®を開発。血液脳関門は脳内への物質輸送を制限することで、脳の機能を健全に保つ機構だが、脳の疾患の治療に必要な薬剤までもブロックしてしまう。しかし、J-Brain Cargo®は血液脳関門を突破させ、脳内に薬を届けることが可能になるという画期的な技術として、世界から注目を浴びることになる。
その後、新たなプラットフォーム技術の確立に向けた基盤技術開発や基礎研究への取り組み強化の一環として、JCRが新たに着手したのが遺伝子治療の研究開発だった。スタートしたのは2017年5月。その研究者として白羽の矢が立ったのが、T.Hだ。
「JCRがターゲットとするライソゾーム病の中には細胞膜等に発現するタンパク質が変異や欠損して発症する疾病がいくつか存在します。それらは外から酵素を補充することはできず、遺伝子治療でしか治療ができません。そのような、いま救えない患者の皆さんを救うことが出来るかもしれない遺伝子治療の研究開発が私の役割でした」(T.H)。
そう話すT.Hは入社当初からJ-Brain Cargo®開発プロジェクトに参加するなど、その手腕を発揮していたが、遺伝子治療に関しては全くの未経験。T.Hをはじめ、他2人のメンバーもその経験はなく、まさにゼロからのスタートだった。

Theme 02

最適なAAVベクターの製造が課題
難しさの中で感じたチャレンジする喜び

このプロジェクトが始まった当時は、血液脳関門を通過することができる安全なAAV(アデノ随伴ウイルス)が報告されたことから、世界中でAAVをモダリティとする新薬の開発の機運が高まっていた。そこで、T.Hは、ライソゾーム病の一種などに適したAAVベクターの製造が可能かどうかを探るところから研究を始めていった。 「世界的にもAAVの研究が伸びていた時期だったので、論文を読み漁って得た情報で片端から実験を試しました。とにかく、できるのかできないのか、早く答えを出してほしいと言われていたので。とは言っても、遺伝子治療に関しては全く知識がなかったので、常に暗礁に乗り上げている状態。何が難しいかもわからないような感じでした。でも、新しいことにチャレンジするのはおもしろいなという気持ちだけは常にありました」(T.H)。
持ち前のバイタリティと根っからの研究者気質もあり、それこそ昼夜を惜しんで研究に没頭した結果、スタートから約1年半が経過した頃には、ラボスケールでの製法を確立。そのタイミングで同プロジェクトに参加したのがI.Sだ。「JCRへの入社の決め手となったのが、遺伝子治療の研究開発を行っていることと会社の規模感。就活当時は遺伝子治療を行なっている企業は多くありませんでした。その中でもJCRは大手企業ほど社員数が多くなく、社員同士がコミュニケーションを取りやすい規模感で、自分の成果で会社が成長するというやりがいが感じられると思ったんです。でも、入社早々から、こんな重責を担う仕事を任されたことには正直驚きました。社の掲げる『スピード&チャレンジ』スピリッツを文字通り実行しているなって」(I.S)。

Theme 03

トライ&エラーを
繰り返しながら
チーム一丸となって
ゴールを目指す

I.Sが任された業務は、ラボスケールで完成していた製法を、次の段階として人に投与できるレベルまで引き上げることだった。そのための品質試験を一から組み立てる必要があり、評価項目や手法の調査から始まり、多種多様な試験法が実施できる体制をコツコツと構築していった。
JCRでもこれまで着手したことのない分野だっただけに、何を評価しないといけないのか、評価するにもどうやってするべきか、まさに手探りの状態からのスタートだったという。
「力価試験、純度試験、確認試験など、多種多様な試験を進めながら製法の改良も同時に行っていきました。それもあって、今までこの品質でOKだなと思っていたのが、新しい試験法を試すと、その品質では人に打てないのがわかるという、トライ&エラーの繰り返し。新しい試験を作るたびに次々に問題が出てきて、それをどうやって解決するかをみんなで話し合いながらチャレンジしていくという、常に一進一退の状況でした」(I.S)。
ちょうどその頃、T.Hが産休に入ることになる。それまで製法から品質試験、全体のスケジュール管理までを担い、プロジェクトを引っ張ってきたリーダーの不在は大きかったとI.Sは話す。「しかし、T.Hに代わって個々の研究者がそれまで以上に頑張りをみせてくれました。また、他グループからも各研究のスペシャリストがサポートに加わってくれたことで、プロジェクトの屋台骨だったT.H不在の中でも、プロジェクトを進めることができました」(I.S)。

Theme 04

患者の皆さんの一筋の光となるために
ゴールへのラストスパートを切る

I.Sは現在、品質試験業務を引き続き担当するとともに、遺伝子治療に関連するアカデミアとの共同研究では、プロジェクトリーダーを任されている。「今は早期の臨床試験を目標に研究を進めています。学生時代に遺伝子治療に興味を持ち、今は仕事として関わることができ、そして数年後には患者の皆さんを救う薬を創ることができるかもしれない。そんな段階にあって、何としても形にしたいと強く思っています」(I.S)。
そして、T.Hは遺伝子治療法を確立することで、遺伝子疾患を抱える患者の皆さんの希望の光になることを望んでいると話す。「遺伝子治療薬の開発は遺伝子疾患を抱える患者の皆さんに対し、新しい選択肢を増やすことに繋がります。1つでも効果的な遺伝子治療法を確立することができれば、患者の皆さんはもちろん、その家族の人生をも変えることができますから」(T.H)。1人でも多くの患者の皆さんを救いたい。そんな思いを胸に、彼らの奮闘はこれからも続く。

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