トップ研究開発・生産体制

研究開発

独自技術を利用した
希少疾病治療薬の研究開発

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JCRは製薬企業の一つの使命として、希少疾病・難病の一つであるライソゾーム病治療薬の研究開発を進めています。数あるライソゾーム病の中には、既に治療薬が存在しているものもありますが、効果が限定的であったり治療自体の負担が大きく、本当の意味でのQOL改善にいたっておりません。

このような状況下で新薬を待ち望む多くの患者さん・家族の思いに一日も早く応えるため、JCRはこれまで培ってきた独自のバイオ技術やノウハウを活かして、「JCRでしか作れない」付加価値の高い新薬の研究開発に取り組んでいます。

ライソゾーム病とは

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J-Brain Cargo®
(血液脳関門通過技術)
ライソゾーム病の多くで見られる発達障害や言語障害を起こす脳の中枢神経症状の改善には、医薬品の有効成分を中枢神経に届ける必要があります。
JCRは脳に存在するバリア機構、血液脳関門を通過させて脳内に薬剤を届ける独自技術「J-Brain Cargo®」を開発し、世界で初めてヒトでの血液脳関門通過を実証しました。
現在は、 ライソゾーム病領域の15を超える疾患に対し、 J-Brain Cargo®適用治療薬の研究開発に注力しています。

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また、J-Brain Cargo®は血液脳関門の通過だけでなく、骨格筋など目的とする組織への効率的な薬物送達を可能とする基盤技術です。
ライソゾーム病にとどまらず、その他の中枢神経疾患や、薬物送達が課題となる疾患への適応など、新たな展開についても研究・開発を進めています。

細胞治療と再生医療技術への
新たな取り組み

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JCRは、長年にわたって細胞培養技術に取り組み、細胞治療・再生医療技術のノウハウを蓄積してきました。その成果として、日本初の他家由来再生医療等製品「テムセル®HS注」の開発・上市に成功しました。そして、骨髄由来の細胞である「テムセル®HS注」の薬理作用に着目した新たな適応症の探索に加えて、「テムセル®HS注」に続く、新たな細胞治療・再生医療等製品の研究開発にも取り組んでいます。

移植片対宿主病(GVHD)とは?

生産・品質保証体制

国内有数のバイオ医薬品製造施設

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JCRでは、現在開発中の希少疾病用医薬品の生産を見据え、シングルユース技術を用いた設備(ディスポーザブルバッグ培養器など)を採用するなど、最新技術を導入しています。ディスポーザブル(使い捨て)バッグを用いることで、培養ごとにタンク内を洗浄する必要がなく、効率的に希少疾病用医薬品などの少量・多品目の医薬品原薬を生産することが可能となります。また、動物由来成分を使用しない完全無血清培養技術で製造するなど、独自の生産プラットフォームを確立しています。

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さらに、将来のグローバル展開を見据えて、2013年に世界基準の生産・品質保証体制を確立しました。 今後も、高品質でより有用な医薬品を安定的かつタイムリーに供給するために、技術の研鑽と情報収集に励み、生産体制の維持・向上を進めていきます。

ライソゾーム病

ライソゾームは細胞の中の“ごみ処理工場”のような役割をしている細胞内小器官で、細胞の内外の老廃物がこのライソゾームにある「酵素」で分解され、代謝されます。分解される物質の種類に応じて様々な酵素がライソゾーム内に存在します。それらの酵素の一つが生まれつき欠損しているか、その働きが低下していることによって、その酵素によって分解されるべき物質が老廃物として体内に蓄積し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。欠けている酵素の種類 により蓄積する物質も症状も異なり、現在までに数十種類のライソゾーム病が知られています。

ハンター症候群(MPSⅡ型)
ハンター症候群とは、ライソゾーム中の「イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)」と呼ばれる酵素が生まれつき欠損しているか、その働きが低下していることによって発症する疾患です。出生時点ではあまり症状は明らかではありませんが、成長するに伴い、「関節拘縮」「中枢神経障害」「骨変形」「肝臓や脾臓の 肥大」「呼吸障害」「心臓弁膜症」などがあらわれます。さまざまな臓器や組織が次第に損なわれていく進行性の病気で、軽症例では成人期まで達しますが、重症例の寿命は10~15歳といわれています。
ファブリー病
ライソゾーム中の「αガラクトシダーゼA」と呼ばれる酵素が生まれつき欠損しているか、その働きが低下していることによって発症する疾患です。スフィンゴ糖脂質が分解されず、血管内壁に蓄積されるため、腎不全、心不全、脳梗塞、四肢の激痛発作、腹痛や下痢などの消化器症状、うつ症状などの精神症状、皮膚や呼吸器の障害などが引き起こされます。伴性劣性遺伝疾患のため、患者さんの多くは男性ですが、女性の患者さんもみられます。
ゴーシェ病
ライソゾーム中の「グルコセレブロシダーゼ」という酵素が生まれつき欠損しているか、あるいはその働きが低下していることによって発症する疾患です。血液 中、骨髄中の「マクロファージ」と呼ばれる細胞に、糖脂質の一種である「グルコセレブロシド」が蓄積することで、肝臓や脾臓の肥大、血小板減少に伴う出血 傾向、貧血、骨痛、骨折、またタイプによっては神経症状が出る場合もあります。
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GVHD移植片対宿主病(いしょくへん・たい・しゅくしゅびょう)

GVHDとはGraft-versus-Host Diseaseの略で、日本語では「移植片対宿主病」といいます。白血病等の治療法である造血幹細胞移植を受けた場合にみられる合併症で、ドナーの移植片 に含まれる免疫担当細胞が、患者さんの体そのものを“よそ者”とみなして攻撃してしまう免疫反応です。心臓移植や腎臓移植等での患者さんの免疫担当細胞による「拒絶反応」に対し、GVHDはその逆の反応といえます。治療が困難な移植の合併症の一つで、重度の場合、患者さんの予後に大きく影響します。ステロ イド剤により治療されることが多いのですが、半数程度はこれに反応せず、そのような場合は予後が不良である事も少なくありません。

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希少疾病医薬品について

希少疾病とは患者数が非常に少ない(日本では患者数が5万人に満たない)疾患の総称で、その種類は5000とも7000ともいわれています。い ずれも治療の必要性が高い疾病ですが、治療を必要とする患者さんの絶対数が少ない一方、有効な治療薬がない場合が多く、その開発を患者さんたちは切実に求 めています。JCRではこの希少疾病に対する治療薬、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)も開発のターゲットとし、現在はその中でもライソゾーム病の治療薬の研究開発を進めています。

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