Environment 環境

CO2排出量の削減や水資源の有効活用など、
環境負荷の軽減を目的として、様々な取り組みを進めています。

環境保全に向けた取り組み

JCRでは、CO2排出量の削減や水資源の有効活用、環境負荷の軽減を目的として、様々な取り組みを行ってきました。例えば、全社でのLED照明への切替え、営業車および社用車のハイブリッドカー・電気自動車・水素自動車への切り替え、製造現場での水使用量の削減とともに製造設備の効率的な活用を目的としたシングルユースリアクターの採用などを推進してきました。
2022年7月には、カーボンニュートラルなどの環境への取り組みを一層強化するために、「環境委員会」を新設しました。本委員会は、環境にかかわる基本方針や重点課題を特定し、重点課題に基づく目標設定や進捗管理を実施します。
2022年11月に竣工した新製造拠点、神戸サイエンスパークセンターにおいては、太陽光発電といった再生可能エネルギーを積極的に使用しています。また、各製造拠点から排出される産業廃棄物(廃プラスチック類)は、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルおよび再生固形燃料化することで地球環境負荷軽減への貢献に取り組んでいきます。

1.産業廃棄物(廃プラスチック類)のリサイクル

2022年度から、産業廃棄物(廃プラスチック類)の再資源化(再生・再利用)およびリサイクル率向上のための課題として、廃プラスチック類の処理方法の適正化および処理量の把握を行うために、地球環境に配慮した収集運搬・中間処理業者の選定、産業廃棄物の種類の把握と分別の強化に取り組んでいます。
今後の取り組みとして、2023年度には、各製造拠点から排出される廃プラスチック類のマテリアルリサイクル処理を積極的に推進します。マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチック類については、サーマルリサイクル処理や化石燃料代替のRPF※1(廃プラスチックや紙くずから作る固形燃料)やフラフ※2(軟質プラスチックの破砕片)など、再生固形燃料化することでCO2排出の低減と枯渇性資源の節減、埋立て処分場の延命などの地球環境負荷軽減への貢献に取り組んでいきます。

※1RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel):廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料であり、発熱量は石炭並みで、かつ、ハンドリングや貯蔵性にも優れているだけでなく、経済性およびCO2削減効果の面でもメリットがあります。

 RPF

※2フラフ燃料:廃プラスチックを選別、破砕処理をすることによりフラフ燃料を製造します。フラフ燃料は一般的な廃プラスチック由来燃料であるRPF燃料と比べ、熱を加える工程がないため環境負荷が低いことが特長です。

 フラフ燃料

2.排水管理における生物多様性への配慮と化学物質、有害物質の適正管理

生物多様性に与える影響を最小限にとどめるために、研究開発や製造に使用する化学物質の取り扱い方法や処分方法についてリスクアセスメントに基づき適切に管理しています。また、各製造拠点で発生した化学物質、有害物質などを含む汚水は、下記の排水処理システムにより適正に処理されます。そして法律で定められた排水基準以下で公共下水道へ排水されていることをモニタリングにより監視しています。

■酵母を利用した排水処理槽(新製造拠点)

原薬製造では高濃度のBODが発生することが多いため、排水規制への対応も含め酵母を利用してBODを分解するシステムを導入しています。また、製造排水を中和処理可能な連続式中和装置で、薬注によりpH値を排水規制値内に調整し、公共下水道に排水します。

 排水処理槽

■ウイルス不活化設備(新製造拠点)

バイオ医薬品等の製造過程からの排水に含まれる微生物・ウイルス等を不活化させるシステムを導入しています。この工程により、汚水を確実に殺菌処理後、公共下水道へ排水し、環境への配慮を行なっています。

 ウイルス不活化処理システム

3.新製造拠点における周辺の住環境への配慮

神戸サイエンスパークセンターにおいては、製造施設および機械の騒音や排水臭気等の発生する設備を工場地帯側へ配置し、事務棟を住宅街側へ配置することで、工場周辺にお住まいの皆さんの住環境の保全に配慮しています。

 神戸サイエンスパークセンター

4.その他の取り組み

  • リサイクル素材を使用したレンタルユニフォームを採用し、使用済みユニフォームを原材料として回収・循環させ、石油由来原料の使用削減に貢献します。
  • ペーパーレス化(GMPに係る文書や記録を電子化)によりOA用紙の使用量を削減しています。また、OA用紙はFSC認証マーク入り商品を使用しています(一部の部署で変更済。今後、社内全体へ展開予定)。
  • 再生紙100%トイレットペーパー(水に流せる芯&包装紙)を使用しています(一部の部署で変更済。今後、社内全体へ展開予定)。
  • 社用車として使用している電気自動車を航続距離の長い機種に変更しています。

     電気自動車

エネルギー使用量

2022年5月頃より研究拠点において熱源設備が本格的に稼働し、2022年度後半より、新製造拠点が稼働し始めたため、総エネルギー使用量が増加しています。

神戸サイエンスパークセンターでは、事務棟の屋上に太陽光パネルを588枚設置しており、職員の居室やカフェテリアなどで再生可能エネルギーを活用しています。なお、総エネルギー使用量については、2021年度より気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿って情報を開示しています。

 神戸サイエンスパークセンター事務棟の屋上全面に設置されている太陽光発電

水資源

水資源に関しては、2021年度は、研究および製造工程に使用する水量の削減や廃蒸気の回収・再利用等の推進の結果、一部の削減効果も認められましたが、製造業績の拡大(新型コロナワクチン原液製造)により、一過的に水使用量が増加しました。2022年度は、研究拠点では熱源設備の本格稼働などがあり大幅な増加となりました。製造拠点では、新工場の稼働による水使用量の増加がありましたが、新型コロナワクチン原液製造受託が終了したことで、全体として減少しています。
なお、研究・製造活動に伴い使用した水は、拠点内で全て適切に処理した上で、排水を行なっています。

TCFD提言に沿った情報開示

JCRは、産業革命以来の気候上昇を「1.5℃未満」に抑えることを目指して、各企業が設定した温室効果ガス(GHG)の排出削減目標などのイニシアチブとJCRの事業計画を踏まえ、中長期的なGHG排出削減目標の設定などの議論を進めています。
気候変動関連リスクの分析および情報開示については、TCFD 提言に沿った対応を進めています。2022年度のGHG排出量において、スコープ3排出量が全体の約9割を占めています。そのうち半数を占めるカテゴリー1については、サプライヤーと協力し、優先的に削減施策の検討と実施を推進していく予定です。

〈ガバナンス〉

JCRは、気候変動対策に関するガバナンスの強化に取り組んでいます。活動の方針や具体的な内容については「サステナビリティ委員会」にて議論され、「サステナビリティ諮問委員会」の意見を参考に取締役会にて決議されます。

〈戦略〉

JCRは気候変動に関する物理的リスク・移行リスクと機会について、事業・戦略・財務に与える短期・中期・長期的な影響の重要性評価を進めています。その結果を踏まえて、経営に与える影響が高いものを「重要リスク」ならびに「機会」として特定していく予定です。

〈リスク管理〉

リスク識別・評価・管理および全社的リスク管理への統合プロセスについては検討中であり、今後開示を進めていきます。

〈指標と目標〉

気候変動の評価指標に関しては今後検討していきます。また、国際的な算定基準であるGHGプロトコルに準拠して算定したGHG排出量のScope1、2および3(一部のカテゴリー)における実績は下記の通りです。

2022年度 Scope別GHG排出量